センター概要
outline訪問診療センターとは
和光会グループにとって在宅医療は原点とも言えるものです。
初代山田 光継が1925年に「山田内科小児科医院」を創業当時、赤痢や腸チフスといった伝染病が主流で、患家から急な往診を依頼されることは多くありました。当時まだ待合の人力車が主流だった中で、多くの患者さんに迅速に対応するため、1928年には自家用車での往診を始めたと聞いています。
戦後「山田病院」となり、平成の建て替えを経て、救急や介護に取り組んだ2000年代までは、一貫して外来の延長として往診を行い、自宅での急変や看取りに積極的に取り組んできました。
2007年に山田病院が岐阜市寺田に移転し、旧病院は「山田メディカルクリニック」になってからは、2拠点で数多くの訪問診療を行っていました。
しかし、従来の往診から現在の訪問診療に仕組みが変わり、求められる要件や患者像も変わってきました。そんな中、重度者や癌末期などにもっと積極的に関わって欲しいというグループ内の訪問看護からの声や、訪問診療、在宅での看取りが手薄な北方町や本巣市といったエリアに対応してはどうかという同業の先生方からのアドバイスを受け、2015年に「北方在宅クリニック」を開設しました。
以後3拠点が連携しながら、それぞれ強化型在宅療養支援病院、強化型在宅療養支援診療所として24時間365日の訪問診療体制を整えてきました。
他方、3つの医療機関の業務の標準化や集約を通して、質の向上、業務効率化、職員の負担軽減を図ってきました。中でも医師の負担や休暇の確保は、働き方改革の面からも、訪問診療の維持のためにも、重要な経営課題です。
これらの課題に取り組むために、2022年9月に和光会グループ内に「訪問診療センター」を新設し、山田病院、山田メディカルクリニック、北方在宅クリニック、そして現在は和光会在宅クリニック大垣を加えた4つの訪問診療部門の連携を図り統合しました。当センター長には岐阜市民病院から澤 祥幸医師を迎えました。
2040年に向けて訪問診療の必要性は益々高まっています。
人材確保が困難になる中、24時間365日体制を維持するのは容易ではありません。
訪問診療センターとして質を落とさず、多くの患者さんをサポートできるよう、効率的な医療に取り組んで参ります。
訪問診療センター長のごあいさつ
greeting2022年9月に、岐阜市民病院診療局長(がんセンター長)から、和光会グループ訪問診療センター長に就任しました。
和光会グループでは、山田病院、山田メディカルクリニック、北方在宅クリニック、和光会在宅クリニック大垣の4つの医療機関で訪問診療を行っています。訪問診療は、皆さまのご自宅や、入所している老人ホーム、老人保健施設、障害者施設に定期的に医師が訪問し診療を行うものです。病院での診療と異なり、ご自宅ではレントゲン検査やCT、MRIといった診断撮影装置がない一方で、ご自宅で過ごされている皆様のライフスタイルに合わせた医療を提供する必要があります。訪問診療を行う在宅医には、高度な医療機器を用いなくても、聴診器やポータブルエコーを用いて診療する、幅広い臨床経験と対応力が求められます。したがって、外来治療や入院治療の空き時間に往診しているだけでは、十二分な在宅医療が提供できない場合があります。
和光会では、長年の往診経験に加え、病院での入院医療、クリニックでの外来医療に、在宅医療専門部門である訪問診療センターを新設することにより、入院や通院が困難となった患者さんやご家族に「在宅医療」というかたちで、住み慣れた家にいながら治療が継続できる専門分野を整備いたしました。
自宅でできる医療は、病院での治療に比べてできる範囲が限られている欠点がありますが、住み慣れた自宅に医師や看護師が訪問することで、より自然な療養環境を構築でき、長年連れ添ったご家族と一緒に過ごせる利点があります。そして、我々訪問診療センターでは、自宅では今までできなかった医療を、さまざまな職種と協力して実現可能にしつつあります。
和光会グループの理念
philosophyみんなを笑顔に。
私たちは、個性や違いを尊重し、
一人ひとりの笑顔を大切にします。
そのことが、家族や地域、そして私たち自身にも、
笑顔の輪を広げると信じています。
「 みんなを笑顔に。」
その未来のために、
和光会グループは歩んでいきます。
現状に満足せず挑戦し、地域をリードする
私たちはこれまでの歩みの中で、地域のニーズや課題に先駆的に取り組んできました。しかしながら、社会構造の変化や多様化するニーズや価値観の中で、現行の制度ではカバーしきれない課題が依然として存在します。
私たちは積極的にこれらの課題に取り組み、地域のスタンダードを作っていきます。
どんなときも、安心して笑顔で暮らせる地域社会の創造
人の生涯には、さまざまなことが起こり、自分だけでなく家族の困難にも直面します。そういったときに助けてくれる人やサービスが身近にあれば、どれほど安心でしょうか。
私たちは「どんなときも」に応えるサービスで、地域から必要とされる存在となり、安心して笑顔で暮らせる地域社会の実現に貢献します。
和光会グループが大切にする価値観
- 個人の尊重
- 自らが受けたいと思えるサービスの提供
- 成長を楽しむ
- 明るく、楽しく
- チーム和光会
- 安定した運営の継続
- 地域社会への貢献
- クリーン&フェア
訪問診療センターの行動指針
actionACTION01
それぞれの患者さんの思いや価値観を尊重し、
「依頼して良かった」「家に帰って良かった」と
思っていただける支援を心掛けます。
ACTION02
介護など他事業所とのスムーズな連携を行います。
ACTION03
基本的に断らず、何事も迅速に対応します。
ACTION04
スキルアップや新たな知識の習得に努め、
自分自身の可能性も広げます。
訪問診療センター3つの特徴
featureさまざまな専門分野に対応する医師の配置
当センターの訪問診療では、一般的な内科医師のほか、総合内科医、呼吸器内科医、循環器内科医、糖尿病治療医、緩和医療医、救急医療医などの多様な専門分野を併せ持つ医師が在籍し、担当医と協力して治療にあたります。その他にも精神科、整形外科、皮膚科の非常勤医師が所属しており、曜日を決めて巡回しています。
また高度医療が必要な場合は、岐阜大学病院、岐阜県総合医療センター、岐阜市民病院、大垣市民病院など地域の主要医療機関と連携した診療体制を有しています。継続的な入院治療が必要な場合は、和光会グループの山田病院に入院していただくことも可能です。
患者さんのライフスタイルや
家庭環境にあわせた療養環境での診療
自宅での療養は、住み慣れた家で家族で過ごせるという「生活の質」の観点からは望ましい療養環境ではありますが、独居の方や自宅では療養環境が整わない方のために、和光会グループでは「住宅型有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」「グループホーム」「特別養護老人ホーム」など、様々な療養施設を多数有しております。これらの和光会グループの施設には、訪問診療センターから定期的に在宅医が訪問し診療を行っています。
また、最大の特徴として、各施設に入所中の方はまるで病院に入院しているかのように、普段の病状(体温、血圧、脈拍、動脈血酸素飽和度など)はもちろん、急変時の症状を24時間体制で訪問診療センター担当医やオンコール医に報告される仕組みを構築しています(和光会グループ以外の施設では対応できないところもあります)。
広いエリアで各連携施設と共に
「切れ目のないサービス」をご提供
訪問診療では、ひとつの医療機関が診療できる範囲が定められています。訪問診療センターでは、和光会グループの4つの医療機関が訪問診療に対応することで、岐阜市内および近郊南東部の地域と本巣エリア(瑞穂市、本巣市、北方町)に加え、新たに和光会在宅クリニック大垣の開院に伴い、西濃エリアの一部(大垣市、安八町、神戸町など)の居宅にも訪問が可能となりました。
訪問診療センターでは、今後も在宅医療を専門とする医療チームとして、広い範囲の専門医を採用し、看護師、薬剤師、セラピスト、介護士と協力して、広いエリアで「切れ目のない」医療を提供していきます。